その昔のデジカメ第一世代の頃(フィルムにはかなわない時代)から、デジカメではコンパクトな撮像素子と自由度の高い光学系の組み合わせで「スーパーマクロ」を実現するものがありました。業務で使う顕微鏡デジカメとして必然的選択となったCoolPix900(だって実体顕微鏡ニコンだし)以降、一般の写真でもマクロにも強いこのシリーズを使ってきました。CoolPixミクロシステムって、あのリレーレンズだけ売ってくれれば有り難かったんですがね。長年メイン機となっていたCoolPix990との組み合わせで、純正リングライト「SL-1」を使ってみたことがあります。SL-1の発売は案外遅くて2002年でした。そんな昔の機械だから、多少批判めいたことを書いても迷惑にはならないかと。要するに、きのこ写真には明るさの点で物足りませんでした。スーパーマクロまで寄らないと無理。
2014年にもなるとさすがにいろいろ時代遅れになり、CoolPix990も退役したので、分解してみました。外見から分かるとおり3mm砲弾型白色LEDが8個搭載されており、電池は円筒形リチウム一次電池のCR2を2個直列で6V、外部電源は6-8.4Vという仕様です。内部は「なるほどこりゃ高いわ」と思うくらい凝った作りで、電源制御にかなり工夫していたようです。外部電源なんか使わなければずっと安かったでしょうに。バッテリーだけで使うなら電流制御抵抗だけで済むはずですから。
SL-1はE900シリーズなどのフィルターねじに取り付ける構造です。しかし、最近のコンパクト機にはフィルターねじを持つものがほとんどなくなりました。フィルターを使って光学処理するよりデータを後処理するようになった、ということなのでしょうか。ワイドコンバーターなど光学オプションを取り付けるには便利だったんですが。CoolPix990をリプレイスしたNikon1 V3にも、標準パワーズームレンズにはフィルターねじがありません。なので、フィルターねじにリングライトを取り付けることはできません。
そこで、底面の三脚ねじを使って固定するリングライトを試作してみました。「とりあえず機能する」だけの零号機です。コンパクトにまとめることができなかったから「アダム」というべきか。材料には秋葉原のあきばおーでUSB雑貨として売られていたリング型LED照明付き拡大鏡、レンズを抜いてLEDだけ使いました。LEDは18個搭載、分解するとUSB電源ラインから電流制限抵抗を介して18パラ(並列, P)のLEDにつながるだけの簡素な構造。カメラ本体から電源を取ることはできないので、外付け電池ボックスを使います。電池には手軽に入手できる角形9Vを選び、ボックスは秋月のスイッチ付きにしたんですが、在庫していないこともあるようです。簡単に作るため、USB拡大鏡のコネクターはそのままにして、基板取り付け用のメス型コネクター(ジャックとは言わないんですかね)を電池ボックスに貼り付けます。バックボーンとなる機構部品はカメラねじ付きプレート、アクセサリーシューが付いているタイプで秋葉原の三月兎で入手しました。プレートから前方にホムセンで買ったL型金具でアームを出して、そこにLEDリングを固定。
もちろんそのままでは電圧が合わないので、18Pになっている基板のパターンをカットして9P2S(9個並列を2組直列)に組み替えます。単純な回路ですが、18PということはメーカーはLEDのマッチングも行って作ったはずです。単品で購入したものではなかなかこうはいきません。電流制限抵抗も少しだけ抵抗値が小さいものに交換。電気的な話はLEDのことの最後のほうを参照して下さい。ここではシンプルでクラシックな抵抗制御。LEDリングのスイッチは造りが雑だったので省略。他のものをさす気遣いはないとはいえ、9Vが出ているUSBコネクターなんて気持ち悪くてしょうがないので、コネクターは差し込んだ状態で接着剤で固定します。もちろん電池ボックスのふたは開くように考えて固定
とりあえず、概ね機能しました。ワイド端では少しケラレが出ましたが、適当なアリモノというか秋葉原で見かけた品物で適当に作ったので、これはしょうがない。が、いかにも大ぶりで、何とかならんかな、という感じです。材料費は3000円ほどでしたが、ある先輩研究者には「3000円でも要らんわ」と言われてしまいました(^^;。