ニコンの古い顕微鏡撮影装置を復活させる可能性

ニコンの1980年代あるいはそれ以前の顕微鏡撮影装置は、三眼鏡筒に投影レンズをセットし、プリズム・フォーカンシングスコープ等を組み込んだ撮影装置を載せ、その上にFマウントのフィルムボックスを装着するものでした。基本システムは恐らくOPTIPHOT/LABOPHOTあたりまで一緒です。この撮影装置を搭載した顕微鏡は結構普及しましたが、今では使われなくなって研究室や倉庫の片隅でほこりを被っていることがあります。これを復活させる方法がありそうです。まだ未完成なので「たぶん」がつきますが。もちろんデジタルでの復活です。言うまでもなく非公式のメカハック。

AFXやHFX、PFXといった形式の撮影装置では、フィルムボックス接続部がニコン伝統のFマウントと同じ形状です。ということはここにFマウントの一眼レフを載せたら写せるのではないかと学生時代に考え、「顕微鏡を壊すことはあるまい」と実際にやったらいけたので、それで結構な枚数の写真を撮りました。

撮影装置には自動露出の制御ボックスが付属しているのですが、これは使わず開放状態にして、シャッターはカメラ(FM2)の側を使いました。ミラーショックによるぶれを考えるとよくないのですが、その方が圧倒的に使いやすかったもので。それにミラーアップ機構は当時F3にしかありませんでした。

こんなことができたということは、撮影装置のフィルムボックスのフランジバックが当時のカメラと同じだったということです。つまり、カメラから見ると顕微鏡がきわめて特殊なFマウントレンズだったということ。「不変のFマウント」を備えたカメラでは、Dfの仕様を見れば明らかなように、フィルム当時からフランジバックは変わっていません。なら、今でも同じことができるのでは?

と思ってFマウントのデジタル一眼レフ、それもこんな特殊用途だから可倒式自動絞り連動爪を装備したDfを載せてみた、というのならかっこいいのですがそんなものは持っていないので、Nikon1用のFマウントアダプターFT-1が載るかどうか試してみました。ところがなぜかうまくマウントにはまりません。

フィルムボックス接続部(飾りリング撤去後)フィルムボックス接続部(飾りリング付き)よくよく見ると、原因がわかりました。撮影装置(PFX-II)のマウント部の外周にある飾りリングが干渉していたのです。フィルムボックスの取り付け位置合わせマークが付いたリング。こんなものは精密ドライバー1本で簡単に外せます。リングにある押しねじを3本ばかり緩めたらあっさり外れ、FT-1がはまりました(公式には動作保証なし)。ちなみに、さらに古い黒塗り時代の撮影装置であるHFMには、問題の飾りリングは付いていませんでした。学生の頃こんなリングを外した覚えはないんですが、なにぶん昔のことなので忘れただけかも知れません。ここまでいけば、たぶんあとは何とかなります。こんなことをやろうと思うようなマニアでハッカーな人になら。

ちなみに、FT-1は1980年代のAI-Sの一部以降のレンズに対応しているようで、対応表にはクラシックレンズのたぐいは載っていません。強引にメカだけ接続してNikon1 V3を装着すると、フルマニュアルで使うことになります。フォーカスエイドくらい有効にしてくれたっていいじゃないかという気もしますが、アダプターを挟むとはいえフォーカシングスコープを使ってマニュアルでやれば何とかなるでしょう、きっと。作業能率は知りません。

というわけでめどは付いたので、先に進みたい方はがんばって下さい。撮影装置のマウントはもちろん本当の意味でのFマウントではなく、ミラーボックスのシャッターを動作させる突起などが出っ張っています。一眼レフの場合は、ミラー等と干渉して最悪壊すかも知れません。そのあたりのリスクはわかった上で、何とかできる人、覚悟がある人、どうぞ。

せっかくだからもうちょっと経験情報をサービスしますね。あくまで経験の記憶。1980年代頃の自動露出の撮影装置には、通常時は撮影系の光路がフォーカシングスコープに向かうよう可動式の直角プリズムが入っています。ピントをきっちり合わせて撮影装置でシャッターを切ると、光路切り替えプリズムがスイングアウトして、撮影装置内のリーフシャッター(レンズシャッター)が作動します。そのため、FM2をフィルムボックス代わりに載せて撮影したときには、ピントを合わせたあとに撮影装置を確かバルブにしてレンズシャッターを開きっぱなしにして、カメラ側のシャッターを切りました。撮影装置の測光素子が劣化していても、カメラ側の露出計を使うことはできます。画像を確認しながら明るさの分布を元に露出を補正するのも容易です。もちろんカメラのシャッターをバルブにして撮影装置の露出計とシャッターを利用してもいいのですが。