ついでに、BH2の修理メモ(真似して壊したりしても責任はもてません)。BH2やニコンのOPTIPHOTO, LABOPHOTOは研究開発の現場からは退きつつある機種なので、中古で出回ることも多いようですが、「ヤフオクで落としたはいいけれど…」みたいなことがあったときに役に立てば。
この機械に限らず、光源内蔵タイプの顕微鏡は古くなるとランプの照度調節がスムーズにいかなくなりがちです。これは(たぶん)スライド可変抵抗器の経年劣化が原因です。私が「ちょい見」用に確保した古いBH2はこれが使用に耐えないレベルでしたが、修理に出すと時間がかかるので自分で直しました。まず鏡筒とレボルバとランプハウスを外し、アーレンキー(六角レンチ)で底面にあるベースを固定するねじ3本を外します。ものすごいトルクで止まっていたか固着していたか、安物アーレンキーが折れるかと思うほどの力が必要でした。ボルトが折れたらマジ大変(恐らく修理不能)。CRC5-56でも吹いておくといいかも。電装品は下側のダイキャストフレームにまとまっています。スライドつまみの近くにある基板を1枚外すと可変抵抗器にアクセスできるので、配線をメモしてからハンダごてを使って線を取り外します。可変抵抗器本体は普通にねじ止め。写真の下側に写っている金属とベークライトの直方体がそれです。上で斜めになっているのが取り外した基板。この辺は製造時期によって設計が変更されているかも知れません。つまみは引っ張れば抜けます。本体を取り外したら、爪を起こして分解、摺動部の清掃、グリス交換。スライダ接点の清掃とスプリング調整も。摺動部のカーボン側がダメになっていたらどうしようもありませんが、金属側が酸化していただけでした。あとは元通り組み直すだけ。一応電力ものなので、事故は火災に直結します。慎重に丁寧に。
言うまでもないとは思いますがこれはマニュアルでも手引きでもありませんし、私自身は「うまくできた」と思っていますが実はとんでもない、という可能性だってあります。これを見て何かをやるなら、何があってもやる人の責任です。
もっとも、製造時の姿にこだわらなければ電気系なんか何とでもなります。要はランプに適切な電力を供給すればよいのです。ならば、ランプハウスへの電力供給ラインを横取りして適当な可変スイッチング電源でもつなぐだけのこと。内蔵しようとするとちょっと大変かも知れませんが、外付けなら電気の基礎だけ知っていれば何ほどのこともありません。そっちに心得がある人なら、電気系不良のジャンクを修理してプロレベルの「マイ顕微鏡」を手に入れることも可能かも。
電気系を外付けにした場合、手がコントロールダイヤルやレバーの位置を覚えているような人だと使い勝手に影響しますね。でもそんなの機種転換すれば変わるものです。オリジナルの回路では顕微鏡の裏側にでかいパワトラが入っていたりしますが、そんなのを現代風のスイッチング電源とかにするとかえってヒステリシスが改善したりして。まあ人間の感覚なんて不思議なもので、リニアティの向上を「テイストが悪化した」とか感じることもありますが。