私の場合、菌根接種実験に用いる容器は、市販のスチロール製のケースを自分で加工して作っています。別に自慢にはなりませんがスチロール加工歴30年ですし(プラモ歴とも言う―そっちは休業中)。プラモ作りではラインの修正やディティールの追加など改造はするのが当然でした。改造の基本技に当たり前ですが「孔開け」「切断」があります。孔開けも特に精密なところ(φ0.3mmとか)はピンバイスの手もみですが、ドリルを使うこともあります。切断はもっぱらノコギリです。これらの作業のために私が愛用しているのは、サンハヤトのプリント基板用電動ドリルD-3とアメリカ X-acto 社製の Extra Fine Razor Saw Blade X239 です。
ドリルの方は今でも手に入るというウルトラロングセラー(マイナーチェンジくらいしてるかな)です。外部電源がφ2.1mmですがセンターマイナスなのでちょっと特殊ですが、なぁに穴にぶち込みゃ、じゃないハンダごてでちょいちょいっと線を入れ替えれば秋月とかの汎用品が使えます。素直に専用品を買ってももちろんいいですが。また、2mm以上の大穴を開けるときには普通の電動ドライバドリルを使うこともあります。
# 無粋な注を付けるとクロトワです。意味不明?それでもいいです無視して下さい。
しかし後者はそうそう簡単には行きませんでした。このアメリカ製カミソリ鋸、レザーソーは、25年前なら模型店で当たり前に買えましたが、さすがに切れ味が落ちてきたので仕事専用のを買おうとしたら、入手にものすごく苦労することになりました。今では模型店というもの自体が絶滅危惧状態で、ネット通販もなく、秋葉原のホビーショップをめぐっても見つからず、渋谷の東急ハンズにもなく、最後に銀座の伊東屋でやっと見つけました。国産ではここまで目の細かいものってハセガワやコトブキヤのエッチングソーくらいなものなんですよね。でもあれには刃のアサリがありません(よね?店頭では見えませんでした)。それに0.15mmではちょっと薄すぎます。ちなみに国内にもレザーソーというブランドの鋸メーカーさんがありますが、こちらは木工用鋸なので関係ありません。
左の写真は「X-acto X239」と「OLFA 125B クラフトのこ」との刃を並べて拡大したものです。左がX239、右が125Bです。中央の定規の目盛りは0.5mm。X-acto はデザイナーの世界ではクラフトナイフで有名な精密刃物メーカーで、日本代表には同様の刃物を作っている会社として OFLA を選びました。OLFA も細目のこを出していますが、この通りピッチが倍ほども違います。
プラモに使われているスチロールはやや粘りがあるので、このような国産の鋸(ホームセンターでよく売られています)でも何とかなります。しかし、透明スチロールは硬くて脆いため、そのような目の粗い鋸では割れが入りやすく、加工困難です。これをさくさく切ってくれるのが X-acto のレザーソーです。エッチングソーとの優劣というか向き不向きについては、今後使い比べてみたいと思います。伊東屋でも一本しか買えなかったのでプライベート用の新品は確保できず、そっちではエッチングソーを使うしかないので。ちなみにこの X239、アメリカ製だけあって押して切る方向に刃がついています。精密加工時にはブレードだけ手に持って加工するのであまり関係ありませんし、ここまで細かいとほとんどヤスリなんで刃の方向なんか大して影響ないのですが。