真夏の林床を這い回る調査をしたり、40度オーバーの温室で作業をしたりすることがあるため、「フード付き屋外用空調服」を試してみました。空調服とは作業服にファンで風を吹き込むという一見キワモノ風のグッズですが、使ってみるとなかなか有効なものでした。
着てみると、普通の作業服上下より明らかに快適です。通常なら汗をだらだら流しながらになるような作業をしても汗ふきタオルが必要ないくらいです。さらに林内調査では蚊が気にならなくなるというおまけもつきます。普通に蚊取り線香を携帯して手首から先だけ虫除けを塗っておけば、フードから吹き出す微風で蚊は顔に近寄れず、蚊に好かれる体質の私でも撮影などの作業に集中できます。
湿度さえ低ければ気温が体温以上でも過酷ではありません。さすがに快適とは言いませんが、まあ耐えられます。屋外用にはチタンスパッタ加工生地を使用しており、日焼けの心配もありません。穴掘りなど結構な運動量があっても汗が流れずどんどん蒸発して熱を奪っていくのが分かりました。
ただし構造上ザックを背負うのには向きませんし、服の内側の風の通り道が潰れてしまうと効果がなくなるため、今のところ登山には使えません。また、原理的に当然ですが、湿度が高いと効果が薄れます。最悪なのは電池切れで、生地が風を通さないようになっている上に屋外用は赤外線反射素材(日射遮蔽のために必要)を使っているので、サウナスーツに早変わりしてしまいます。
電源としては単三乾電池4本を使用します。当然エネループなどのニッケル水素電池で良好に作動します、っていうかそれが基本。それなりに電力を消費するので、1日仕事なら電池は2セット必要です。
正直見た目はかなりアレですが、「防蚊服」になるというのは私にとっては重要でした。某氏のように「我慢していればそのうち気にならなくなる」というほどの根性はないもので。あと、熱帯では下手をすると命に関わりますし。
見た目の他に問題になるかも知れない点は、袖口から吹き出す微風です。植物の写真を撮る時には影響しました。ストラップで縛るなりすればいいかも知れませんが、空調効果は落ちますね。裁縫が得意な人は改造してフラップ付きの排気口を設けるのもよさそうです。お金がある人は「防蜂用空調服」という手もありますが。