私はプレッシャーチェンバーでマツの針葉の圧ポテンシャルを測ることがあるのですが、使っているのが小枝も測れるチェンバーなので、特に昼間の測定では窒素ガスをすごい勢いで消費してしまいます。ガス代そのものは大したことありませんが、購入手続きやボンベ交換作業は面倒なので、できる限りその頻度を低くしたいところです。うっかりガス欠を起こして欠測となったときの悔しさといったら。それに、室内で窒素ガスをじゃんじゃん使った挙げ句に酸欠になってひっくり返りでもしようものならめちゃめちゃ恥ずかしいですし。いやさすがにこれはやったことないですけど。
ともあれ何とかガスの浪費を抑えたいと考えて、加圧したときガスの大半は何もない空間を満たしているだけであることに目を付け、そこを固体で埋めることによってガスで満たすべき空間を縮小することを思いつきました。そのためにチェンバーの内寸にちょうど収まるよう大型のゴム栓を3個ばかり重ねて糸で括った中子を作りました。もちろん中心には針葉が入る穴を空けてありますし、間違ってもガスの流路を塞がないよう溝も彫ってあります。これでチェンバーの内容積を1/10くらいにすることができ、当然ガスの消費もそれに応じて少なくなりました。
ただし、容積が減るということはガスの流入量に対する圧力の上昇が早まるということなので、加減弁を調節して少しゆっくりガスを入れるようにする必要があります。まあ当たり前のことですが。加圧/排気の三方弁だけの機械だとデリケートな操作が必要になるかもしれません。
圧ポテンシャルの測定には、断面からの水の滲み出しをルーペで観察しつつチェンバー内の圧力を上げていき、水が出始めた瞬間に加圧を止めて圧力計を読みます。マツの場合には樹脂道から樹脂も出てきますので、維管束から出てくる水との見分けも必要になります。そのためにも、ルーペで観察するのにファイバー照明を使ってその部分を十分に明るくしてやるといいでしょう。白熱電球のスタンドでもいいですが、それだとちょっと熱いので。作業の能率を上げるにはねじ込み部分やO-リングの掃除とグリスアップが欠かせません。でもやっぱり3MPa(約30気圧)とかかけるとちょっとどきどきします―てのひらに収まる蓋に1トン近い力がかかってるんですから。
ところで、プレッシャーチェンバーのことをプレッシャー「チャンバー」と呼ぶ人がいますが、何ででしょうね。変なの。それに限らずチェンバーをチャンバーと呼ぶ人が結構いるようです。