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はじめに
論文を書くのは、とても大変で苦しい作業です。そして多くの技術が必要な奥の深い行為です。
一方で、書き方を勉強しまた実践を繰り返すことで、誰にでもできる行為でもあります。
オリンピックに出てカールルイスと戦えと言っているのではありません。
まずは100mを走りきることを覚えよう、そして徐々に早く上手に走れるようになりましょうという話なのです。
(もちろんオリンピックを目指しても良いですけど)
べつにミリオンセラーを出さなければならないという話ではありません。
インディーズでもなんでもいいので、とりあえずCDを出すことから始めてみようという話です。
(もちろんミリオンセラー連発・量産で、グラミー賞を目指しても良いですけど)
べつにいきなり大聖堂を作らなければならないと言っているのではありません。
とりあえず何でもいいから小屋一棟建てられるようになろうという話です。
たとえば建築物という土俵・ものさしの上で評価される建築家としては、なんでもいいから一棟建てられないと、評価はされません。いくら最高級の板を作る技術があっても、建築家という土俵・物差しにでは評価されないのです。(個人的には、みんなが建築家にならなくても、最高の板職人という生き方が認められてもいいと思いますけど。ただ、そんな板職人も一度家一軒建ててみると、もっといい板を作れるようになるかもしれません。)
重要なのは、とにかく手をつける(書く)、と同時に、その行為に必要な技術を意識して勉強すること。
野球をうまくなることを考えてみてください。野球をうまくなるためには野球をやるのが一番です。でも同時に、うまくなるためには、
技術書を読んだり、指導を受けたり、自分でビデオを見てうまい人の技を勉強したりします。(まねをするというのもとてもいい作戦です。ちなみに)
最初から最高のものを作り上げなければならない、と自分にプレッシャーをかけ、筆が全く進まないよりも、これが今の自分の精一杯強だというレベルをまずは目指そう、とか
5本目10本目ぐらいで納得できるのがちらほら出始めればいいか、ぐらいの気持ちでいいのかもしれません。
また、論文論文とはいってもそのタイプは色々です。取っつきやすいのから始めるといいのでは?
おすすめ図書・参考図書
前半は”書く”事の基礎技術の本です。中盤から研究者が論文を書くのに役立つ本になります。
文章を書く基本を勉強したことがないのなら、最初の数冊を読むだけでかなり勉強になります。
論文を書く事を勉強したことがないのなら、中盤のおすすめ本を読むととても勉強になると思います。
書く技術・伝える技術、倉島保美 あさ出版: おすすめ度***
書く技術・伝える技術のエッセンスを簡単にまとめた書。研究者、大学生、社会人すべての人にお勧め。特に書くことを勉強し始めた人に。
理系のための英語ライティング上達法, 倉島保美, 講談社: おすすめ度***
日本の大学では、書き方をあまり教えてくれません。でも書くと言うことは一つ技術で、一度きちんと勉強すべきものだと思います。
日本語の作文技術、本多勝一、朝日新聞: おすすめ度***
日本人であるという油断からか、正しく日本語を書くという勉強がおろそかになりがちです。たとえば修飾の順序や読点の打ち方など、よくわからない点が多々あります。そういう曖昧な点をしっかり解説しています。シャープな文章を書くためにおすすめです。ちなみに本多氏は辛口です。
「超」文章法、野口悠紀夫、中公新書
考える技術・書く技術、バーバラ・ミント、ダイヤモンド社: おすすめ度**
まわりで就職活動を始めた人たちの多くが手にしていた本。よりわかりやすい文章を書く、問題を解くという技術はビジネスでもサイエンスでも同じです。
これから論文を書く若者のために, 酒井聡樹, 共立出版: おすすめ度***
(若手)研究者は読むべし。
科学者・技術者のための英語論文の書き方-国際的に通用する論文を書く書く秘訣-、 Lewis, R. Whitby, N. Whitby, E. 東京化学同人: おすすめ度***
科学者・技術者が英語論文に本格的に取り組む際に手元にあると便利で心強い本。点の打ち方、パラグラフの作り方など細かい話から、アブストとはなんぞや、論文を書くためのステップとは、といった大きな話まで網羅されており、バランスがとれていておすすめ。「現代科学」の連載を加筆しまとめたものであるせいか、科学者が知りたいと思うツボを押さえていると思う。教科書にするならこれもいいかな。
「考える」科学文章の書き方、Moriarty, M F.著 長野敬 訳: おすすめ度***
Discussion が書けず悩んでいた時に出会って”はっ”とした本。そもそもの科学的態度とは何か・論文を書くときにそのデータ・論文を見るときの立ち位置はどうあるべきなのか、という案外一番大事だけど見落としがちなことを書いてある。(ちなみに、ある意味Discussionは論文の中で一番難しいところだと考えている。その人が何を考えているのかが問われるし、だれも言っていない新しいことを言えるのか力の発揮どころ、と考えています。あまりに難しいので、5-10年後に納得できるdiscussionが書ければいいかな、ぐらいに思っています。それに最初はdiscussionの無い論文からスタートするのもいいのではないでしょうか?)
eトランス 2003年9月号「理系英語を身につける!」
理系英語論文ライティング教育事情 アメリカ編とかが特に参考になる。
How to write and publish a scientific paper, Day R A., Oryx Press: おすすめ度***
今後、日本の大学でもScientific Writing を教える時代が来るともうが、自分だったらこれを参考書にするかな。翻訳されたのもあるけれども、Plain Englishでかかれているので是非原文で。
Fist moves, ポール・ロシター、東京大学教養学部英語部会、東京大学出版会
ついに東大から英語Writingの本が出た。わかりやすくはあるが、英語なんで敷居はやや高い。日本中の大学で教科書になる、とはいかないかも。
Power tools for technical communication, McMurrey, David A. Harcourt College Publishers
いろんな文章の書き方、取り組み方を網羅しているため、頭から読んでいくというよりかは、気になるところをつまみ読みする本。でも学ぶことは多いです。
アクティブ 科学英語 -読解型から発信型へ-, 多田ら, 三共出版
英語で論文を書くことになれてない人は、とりあえず1冊虎の巻を手に始めましょうと言われ、自分は何となくこれを。
科学者のための英文手紙の書き方, 黒田ら, 朝倉書店
海外に論文を投稿すると、英語の手紙は避けて通れません。丁寧語がないとか尊敬語がないといわれる(?)英語ですが、そんなことはありません。ニュアンスとかわからなかったので適当にやっていたら、痛い目にあったことがあります。慣れるまでは写しでいきましょう。お手紙系の本は何でもいいので是非一冊以上。
理科系の論文作法, 高木隆司, 丸善ライブラリー
理科系のための英文作法, 杉原厚吉, 中公新書
アメリカ式論文の書き方、フライ、東京図書
学部生なんかにはいいかも。
おすすめHP
若手研究者のお経(超おすすめ): おすすめ度***
SSSAの論文の書き方、心得など
同じくSSSAのPublications Handbook & Style Manual
科学論文を書くにあたって/日本物理学会(若手研究者のお経からリンクあり)
日本語ライティングの世界/倉島保美さん(若手研究者のお経からリンクあり): おすすめ度***
MITのWriting and Communication center: おすすめ度***
君島浩氏のホームページ
その他
論文が書けない私へ、岩田幸良、土壌の物理性、2005年7月、100号 pp 77-78: おすすめ度***
みんな不安だし、苦しいんだ、ということです。
なかなか論文を書けない若者のために、酒井聡樹のページ(若手研究者のお経著者): おすすめ度***
みんな苦しんでいるんです。
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