四国の外来鳥類

 

00086-1 このサイトでは、四国で見られる外来鳥類について解説しています。

 

外来生物とは

外来鳥類の問題点と対策

四国地域の外来鳥類

資料

リンク

 

 

 写真 ソウシチョウ (撮影:東條一史)

外来生物とは

 外来生物とは、人間の活動によって本来の分布域以外に生息するようになった生物です。外来生物による生態系の撹乱は、生物多様性を保全する上で、人為的な利用、生息地の破壊とともに、きわめて深刻な問題となっています。

 外来生物のうち、地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすおそれのあるものを、特に侵略的外来種といいます。地域の生態系は、長い進化の歴史を経て、現在の状態に至ったものです。ここに外から生物が侵入してくると、生態系にさまざまな悪影響を及ぼすものと考えられます。また、人間の生活や農林水産業などの産業に悪影響を及ぼすおそれもあります。

 2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(以下、外来生物法と呼ぶ)では、生物多様性の保全と人間の活動への悪影響を防ぐために、問題を引き起こす可能性の高い侵略的外来生物を「特定外来生物」として指定しています。特定外来生物に指定された種は、飼育・栽培、運搬、輸入などが規制され、防除の対象となります。

 

外来鳥類の問題点と対策

 外来生物は、生態系にさまざまな影響を及ぼします。IUCN(国際自然保護連合)は、野生生物に絶滅の危機をもたらす三大要因として、人間による直接の利用(捕獲・採取)、生息地の破壊、外来生物による脅威をあげています。

 これまで日本に侵入した外来鳥類のうち、特定外来生物に指定されているのはソウシチョウ、ガビチョウ、カオジロガビチョウ、カオグロガビチョウおよびカナダガンの5種で、カナダガンの他はいずれもチメドリ科に属する鳥です。これらのチメドリ科外来鳥類は、日本国内に定着した場合、高密度に生息するようになって、地域の鳥類相を大きく改変することが知られています。また、カナダガンは2014年に特定外来生物に新たに指定されたカモ科に属す大型の水鳥で、近縁のシジュウカラガン(稀少な在来種)と交雑するおそれがあります。

 このほかに、未判定外来生物(生態系などに影響を及ぼす恐れがあるが、実態がよく分かっていない生物)として、上記4種以外のすべてのチメドリ科鳥類が指定されています。また、要注意外来生物(生態系への被害に関する知見が不足している種など)としてインドクジャク、コリンウズラ、クロエリセイタカシギ、シリアカヒヨドリ、外国産メジロがあげられています。

 外来生物の問題点としては、在来の生物を食べてしまう、在来の生物と資源をめぐって競争して在来種の勢力を弱めてしまう、在来の近縁種と交雑して遺伝的な撹乱を起こす、在来の生物の感染したことのない新たな病気を在来種に伝染させる等があります。

 これらの問題を生じさせないために、侵入防止、野生化防止、拡大防止の三原則が重要です。すなわち、

(1)悪影響を及ぼす可能性のある外来生物をむやみに日本に入れない

(2)飼っている外来生物を野外に捨てない・逃がさない

(3)すでに野外にいる外来生物は他の地域に拡げない

の三つを厳しく守る必要があります。いったん定着してしまった外来生物を地域から根絶するのは、ものすごくたいへんな労力と予算がかかります。

 

四国地域の外来鳥類

 2010年までに四国地域で定着していると考えられるおもな外来鳥類は次の通りです。

 

コジュケイ (キジ科) Bambusicola thoracica  侵入生物データベース(外部サイト)へ

 中国南部・台湾原産。全長27cm。狩猟鳥とするために、1910年代から日本各地で放鳥され、本州、四国、九州に生息しています。すでに各地に蔓延していることもあり、特定外来生物には指定されていません。

 

コリンウズラ (キジ科:外来生物法による要注意外来生物) Colinus virginianus 侵入生物データベース(外部サイト)へ

北アメリカ原産。全長25cm。猟犬の訓練用として、1980年代から日本国内で放鳥されるようになり,関東地方や関西地方と四国で生息が確認されています。河川敷や草原などを生息地とします。四国では2000年ごろから愛媛県で記録されています。

 国立環境研究所の侵入生物データベースでは高知県に分布するとされていますが、本会が調べた限りでは、2011年現在までに高知県での確認記録は見つかっていません。

 

カワラバト(ドバト) (ハト科) Columba livia  侵入生物データベース(外部サイト)へ

 中国西部からアフリカ北部までの温帯域に広く分布する鳩。紀元前から人間に飼育され、多くの品種が作られています。家禽化されたものが再び野生化したものがドバトと呼ばれ、日本全国に生息しています。都市公園をはじめ、農耕地などでもよく見られます。日本生態学会による「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。

 

ソウシチョウ (チメドリ科:外来生物法による特定外来生物) Leiothrix lutea  侵入生物データベース(外部サイト)へ

 中国南部からヒマラヤにかけて自然分布するスズメ大の小鳥。姿と鳴き声が美しく、江戸時代から日本で飼育されてきました。1980年代以降、本州と九州の山地の天然林で野生化し、2000年頃から四国でも野生化が確認され、分布が拡大しています。四国東部の剣山系に多く見られますが、近年、四国中西部の石鎚山系にも生息するようになりました。日本生態学会による「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。

 

ヒゲガビチョウ (チメドリ科:外来生物法による未判定外来生物) Garrulax cineraceus

 中国中部・南部などが原産の全長約24cmの小鳥。美しい声で鳴きます。低山帯の森林の藪に生息します。1990年代後半から野生化が四国で確認されるようになり、四国の西部・中部で分布が拡大しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真 ヒゲガビチョウ(左:成鳥,右:幼鳥)

(撮影:岡井義明、愛媛県愛南町篠山、成鳥 2007623日.幼鳥 2007922日)

(Photo by Y. Okai. Mt. Sasa, Ainan-cho, Ehime Pref., Japan. Left (adult): 23 Jun. 2007. Right (juveniles): 22 Sep. 2007)

 

ハッカチョウ (ムクドリ科) Acridotheres cristatellus  侵入生物データベース(外部サイト)へ

 中国南部、台湾、ベトナムなどが原産で、全長は約26cm。日本には江戸時代から輸入されていましたが、1980年代から神奈川県東京都などで野生化した個体群が確認され、その後、大阪府兵庫県などでも野生化しています。おもに都市近辺の農地、海岸の埋立地などに生息します。四国では2000年頃から香川県で野生化した個体が確認されるようになりました。

 

サンジャク (カラス科) Urocissa erythrorhyncha

 タイ、ベトナムから中国南西部などが原産で、全長約66cmの尾の長い美しい鳥。森林に生息しますが、農地や果樹園等で餌をとることもあります。2000年代に高知県西部、愛媛県南予地方などで複数個体が野外で確認されています。繁殖・定着が確認されたわけではありませんが、注意喚起のため、ここに加えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                                       写真 サンジャク

(撮影:岡井義明、2003111日、愛媛県愛南町正木)

(Photo by Y. Okai. Masaki, Ainan-cho, Ehime Pref., Japan. 1 Nov. 2003.)

資料

四国地域におけるチメドリ科外来鳥類の定着実態の解明(四国外来鳥類研究会2007

本編ダウンロードPDFファイル)

2007年時点のソウシチョウとヒゲガビチョウの四国での分布を記載しています。

この資料の作成には第17PRO NATURA FUNDの研究助成を受けました。

 この資料の冊子体をご希望の方は、以下へご連絡ください。

 780-8077 高知市朝倉西町2-915 森林総合研究所四国支所 担当:佐藤重穂

 FAX: 088-844-1130

 

外来鳥類に関する総説

Eguchi K. & Amano H. E. (2004) Spread of exotic birds in Japan. Ornithological Science 3: 3-11.

江口和洋・天野一葉(2000)移入鳥類の諸問題.保全生態学研究 5: 131-148

江口和洋・天野一葉(1999)移入鳥類の帰化.日本鳥学会誌47: 97-114.

日本生態学会編(2002)外来種ハンドブック.地人書館.390pp. (外来生物全般についての解説書)

 

四国の外来鳥類に関する論文等

城戸崇雄(2010)ソウシチョウLeiothrix luteaの観察記録.Woodpecker 2: 39-40.

佐藤重穂(2009)四国山地東部の三嶺山麓におけるソウシチョウの営巣記録.四国自然史科学研究 5: 24-27.

濱田哲暁・佐藤重穂・岡井義明(2006)外来種ヒゲガビチョウGarrulax cineraceusの四国における記録と繁殖.日本鳥学会誌 55: 105-109.

 

リンク(外部サイトへ)

環境省の外来生物法のサイト

 

立環境研究所の侵入生物データベース

 

外来鳥類に関する情報(平泉氏作成のサイト)

 

チメドリ科鳥類5種の識別ガイド((株)鳥類環境のサイト)

 

NPO法人四国自然史科学研究センター(四国の外来生物に関する情報が掲載されているサイト)

 

Shigeho Sato’s Website (このページの管理者のサイト)

 

制作 四国外来鳥類研究会

連絡先 062-8516北海道札幌市豊平区羊ヶ丘7森林総合研究所北海道支所 

森林生物研究グループ 佐藤重穂

     TEL: 011-851-4131(代表) FAX: 011-851-4167

     E-mail shigeho(a)affrc.go.jp ← (a) @に代えてください

 

・このサイトは今後、新たな知見の追加に伴い、順次更新する予定です。新たな分布情報などがありましたら、上記までご連絡いただけると幸いです。

・このサイトの内容の無断転載はご遠慮ください。

 

更新履歴

2011325日 作成

2011329日 一部修正(リンク先追加)

201145日 一部修正(ヒゲガビチョウ、サンジャクの写真追加)

201198日 一部修正(コリンウズラの項追加)

2014627日 一部修正(カナダガンの記述追加)

 

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