ウサギ類の糞食

  最終更新日: 2011年7月4日
 ウサギが「軟糞」だけでなく「硬糞」も日常的に食べていることを発見し、「硬糞食」を含めた糞食の全体像を明らかにしました。

解説

 ウサギ類は「軟糞」と呼ばれる特殊な糞を食べることが以前から知られてきました。軟糞は、食物が盲腸で発酵したもので、ビタミンやタンパク質などに富んでいます。軟糞は、いわばウサギは体内で作られる栄養豊かな発酵食品で、軟糞を食べないとウサギは生きていけません。軟糞食はウサギの消化過程の一部です。
 ところが、ウサギは「硬糞」も日常的に食べていることが明らかになりました。硬糞は、発酵に適さない粗い食物片が盲腸から選択的に排出されたものです。硬糞はいわば食物中のゴミ、粗大片の塊です。では、なぜウサギは硬糞を食べるのでしょうか。
 ウサギは夜行性です。夜間は動き回って餌(植物の葉や茎、樹皮、芽など)を食べています。その間に出る糞は硬糞で、これは食べません。明け方になると、ウサギは休息に入ります。休息に入ってしばらくの間(1時間ほど)硬糞が出ますが、その後軟糞が出始め、これがしばらく続きます。お昼過ぎには再び硬糞が出始め、夕方ウサギが活動を開始するまで続きます。ウサギは、こうして昼間休息中に出る糞を、軟糞も硬糞も残らず食べてしまいます(別ページの図を参照)。
 よく見ると、軟糞と硬糞の食べ方には違いがあります。どちらも直接肛門に口を付けて食べますが、軟糞はかまずにすぐ呑み込んでしまうのに対して、硬糞は長い時間しっかり咀嚼(そしゃく)します。ウサギはこの咀嚼によって、本来消化に不適な粗大片の塊を、盲腸で発酵しやすい微細片に変えています。日中休息時のウサギは、新しい餌を採ることはできません。しかし、その代わり、硬糞をよく咀嚼して食べることで、ゴミを宝に変えているわけです。
 結局、ウサギは一日中食べて、一日中糞を出していることになります。夜間は糞を捨てて、新しい餌を食べています。昼間は、出した糞をそのまま食べています。昼間休息中はリサイクルの時間なのです。
 硬糞食には、夜間に行われる場合があります。夜間活動中、何らかの理由で餌が得られないと、ウサギは硬糞を食べてしのぎます。これは非常食としての役割を担っています。ウサギは絶食に強いことが知られています。これは、硬糞をリサイクルすることで、食物をとことん無駄なく利用できるからだと、私は推測しています。

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