きのこなんかを相手にしていると、地面すれすれの超ローアングルで撮影する必要がよくあります。手持ちで撮れればいいのですが、林の中では光量不足でなかなかそうもいきません。こういう場面で活躍していたベルボンのMini-Fも製造中止になってしまいました。そんなときに使える、あまり便利とは言えませんがMini-Fよりさらに低いアングルからでも撮れる変態的撮影方法です。これが可能な三脚ならマニュアルに書いてありますが、それじゃ買うまで分からないし、そもそもこのテを知らなければそう言う製品を選ぶとは限りませんから。
三脚のエレベーター(念のために言うと三脚中央の上下するポールのことです)には、普通上下にカメラねじがあり、上には雲台(向きを変えたり固定したりできる架台)が取り付けられています。ごく低価格あるいはコンパクトなものでは雲台固定だったり、逆にある程度以上高級な製品は雲台別売りだったりしますがそれはまた別の話。このエレベーターの下側のねじを利用します。ここにコンパクトな自由雲台を取り付けて、カメラをセットします。北アルプスとかに行っていた頃は、軽量三脚のエレベーターの上下に小型自由雲台を取り付けて風景と植物の両用にしていたものです。
この方法であれば、地上5cmからの撮影も難しくありません。難点はファインダーが見にくくなることで、昔はニコンFM2のファインダーを地面にはいつくばって覗いていたものです。しかしデジカメにはレンズ光軸から液晶ファインダーをオフセットさせることができるものもあり、そのような製品(私はニコンE990を使用)では撮影がずっと容易です。デジカメ特有の問題としては画像ファイルの天地が逆転してしまうことですが、この程度なら修正は容易です。
なお、ベルボンのMini-Fの代わりに入手したスリックのトラベルスプリントでは、エレベーターポールの下側にはカメラねじがありませんが、エレベーターを雲台ごと引っこ抜いて下から挿すという荒技が使えます。大開脚とエレベーターポールの切り離しも可能で、その状態でなら普通の向きでもかなりのローアングル撮影が可能です。「トラベル」と銘打つだけあって軽量コンパクト、標準装備が自由雲台というのも気に入りました。
私が上記三脚を選んだのには「久しぶりにスリックも使ってみよう」と思ったという程度のいい加減な理由も一部いやかなりあります。ベルボンにもしっかりMini-Fの後継機種はあります。ULTRA MAX i miniは「小型接写用三脚」と銘打っていますし、CX-460 miniも「接写用」です。という程度は紹介しておかないと不公平かな。ただし後者は雲台固定なので自由雲台愛好者の私の眼中には入らなかったり。私の評価(というより好み)はかなり偏っています。