その他の樹種についての断片的覚え書き

エゾマツ

トウヒ属につくらしいヤマドリタケ属のきのこに遊んでもらおうと、その実生を扱い始めました。種としてはエゾマツ Picea jezoensis (Sieb. et Zucc.) Carr. です。

エゾマツの種子はマツの種子を小さくしたようなかわいらしいもので、100粒集めて重さを量ったら240mgありました。クロマツの1/5ほどです。一見似ているから同じように扱ってもいいかな、と思ったらとんでもない。はるかにデリケートで、マツ用のテクニックはまるで通用しませんでした。

とりあえず普通に発芽させるところまではルーティーンでできるようになりました。無菌化については今のところ必要がないのでやっていません。いろいろやった結果、エゾマツの発芽床にはピートモスが最適でした。発芽した実生の根をいじるので、夾雑物を除いてミキサーにかけて粉状にしたピートモスを使っています。"ground peat"ってやつですね。買ってきてそのままの状態では組織っぽいものが残った塊が混ざっており、そこに根が入り込んだら取れなくなってしまいます。あんまり粉末にしすぎると通気性を損なうのではないかと少しセラミックを混ぜてみましたが、これは不要かも知れません。根を取り出しやすい砂の類が使えればいじるのが楽なのですが、どうもうまくいきませんでした。

発芽には10日くらいかかります。芽生えもマツそっくりのかわいらしいものです。しかしマツと違って水分管理には非常に気を遣う必要があります。砂でうまくいかなかったのはこのあたりが原因かも知れません。十分な湿り気を与えることを心がける必要があります。初生葉が出てくる頃になっても乾燥には非常に弱く、室内のライトバンクに置くなら組織培養用容器に入れてやった方がいいくらいです。あんまり湿室に置くとかびるんじゃないか、ダンピングオフが発生したら速攻全滅だと心配しましたが、これまでのところそういう問題は起こっていません。

林床のギャップで倒木更新するような生態からして生長が遅いことは予想していましたが、案に違わずのんびりとしか生長しません。上記の扱い方も生態から類推してのものです。肥料は与えた方がいいようですが、まだ適量はつかめていません。

1ヶ月も経てば接種できそうな大きさになりますが、この先どうなりますやら。

書きかけです、というかその先やることあるのかな。