J. For. Res. 10(2) 93-100

人工クロマツ林における菌根の発達度と斜面上の部位及びマツ材線虫病被害 との関係

明間民央1・二井一禎2

  1. 森林総合研究所九州支所森林微生物管理研究グループ (連絡・別刷請求先)注1
  2. 京都大学農学研究科地域環境科学専攻微生物環境制御学分野

マツ材線虫病被害を受けた斜面のクロマツ人工林では、斜面上部に生存個体が多かった。しかし斜面の上下で媒介昆虫であるマツノマダラカミキリの後食痕の数には差はなく、被害量の違いはカミキリの行動量即ち感染機会の多寡では説明できない。同じ林分で菌根の発達を調査したところ、もっとも発達がよかったのは斜面上部であった。採取した試料あたりの菌根の生重のみならず、菌根を直接つける直径2mm以下の細根あたりの菌根の形成量も、斜面の上部で多くなっていた。菌根は植物の耐乾性を向上させることが知られているため、菌根の発達の良否が萎凋病であるマツ材線虫病に対するマツの抵抗性に影響している可能性がある。ここで、土壌養分などには菌根の発達に差をもたらすようなはっきりした傾向は見出せなかったが、水分条件は斜面上部の方が不安定で、菌根の発達に差が生じた一つの理由として考えられた。

注1:現所属は森林総合研究所きのこ・微生物研究領域きのこ研究室です。

注2:これとは別の正式版の抄録は、日本森林学会誌 87(3) 272 に掲載されています。

キーワード:外菌根、マツ材線虫病、乾燥ストレス、枯損率、クロマツ